レース前からエアメサイア、ラインクラフトの2強ムードでしたが、結果もそのとおりあたかもローズSの再戦のような一騎打ちでした。そして2番人気のエアメサイアがゴール前最後の1完歩でラインクラフトを交わし、母の代からの悲願であったGI制覇を飾りました。鞍上の武豊騎手はこれで今年GI4勝目。敗れたラインクラフトは惜しくも牝馬変則3冠なりませんでした。エアメサイアは次走、古馬相手のエリザベス女王杯に出走予定です。
*表1. 近4年と今年の時計比較
| 近4年平均 | 2005 |
* 勝ち時計 | 1:58.5 | 1:59.2 |
* 前3F-5F-後3F | 35.2-59.3-35.3 | 35.6-60.1-35.0 |
* 勝ち馬上がり | 34.7 | 34.2 |
* 2着馬上がり | 34.7 | 34.7 |
勝ち時計1:59.2は近4年では'03のスティルインラブと並んで最も遅いもの。平均値と比較しても0.7遅く、これは1000M通過が0.8遅かったことがそのまま影響したものと思われます。距離に不安のあるラインクラフトとしては道中どれだけ折り合いをつけるかが全てでしたから、あえて先行争いには加わらず少し前とは距離を置いての競馬でした。そのため前半のペースが上がらなかったのでしょう。それでも3コーナーすぎからラインクラフトが上がって行くと、スタート後の2F目以外はずっと12秒台だったハロンラップも11.8-11.6-11.3と尻上がりにペースアップ。これに多くの馬が対応出来ず、直線でラインクラフトが後続を引き離した時点で、あとはエアメサイアが届くかどうかの後先勝負だけといった感じでした。結果掲示板にのった5頭のうち、ラインクラフト以外は全て道中10番手以降という差し追い込み決着。またオークスの上がり最速馬が勝ったというのもここ数年の傾向。それぞれ「
秋華賞の傾向と対策(1)」や「
秋華賞の傾向と対策(3)」で事前に検証したとおりの結末となりました。
勝ったエアメサイアは前走休養明けで減らした馬体を戻してきました。それも軽めの運動のみで戻したのではなく、1週前追いで51.6-13.4、最終追いで52.3-12.5と強いところを2本こなしてのもの。見事な仕上げでさすが名伯楽・伊藤雄二調教師といったところでしょう。ラインクラフトにしてもさらに馬体が逞しくなった感じでこちらも寸分の狂いもない仕上げでした。ただエアは次走エリザベス女王杯を予定しているようですが、ここが渾身の仕上げだったことを考えると、何度も言うようですがさすがに伸び白があるかのかどうか不安はあります。相手関係、状態次第と言ったところでしょうか。
ラインクラフトも負けて強しの競馬はローズSと同じ。ただこれからは異世代との対決や牡馬相手の対決も多くなりますし、気性面での成長が待たれます。次の大目標は来春新設予定の
古馬牝馬限定マイルGIとなるのでしょうか。マイル戦のスペシャリストの道を辿ってほしいと思います。
これで対戦成績は2勝2敗。秋になって成長度で逆転したというよりも、マイル以下ではライン、それ以上ではエアと明確に分かれたように、今日のところも勝敗の分かれ目は距離適正の差でしょう。いずれにしても、先に仕掛けたラインクラフトも差し切ったエアメサイアもともに仕掛けのタイミングは絶妙。馬の能力をフルに出し切り、また鞍上同士の駆け引きに富んだ素晴らしいレースだったと思います。
【レース画像】JRA Video Interactive
http://www.jra.go.jp/vi/doc/mc_replay/rep_shukasho_h17.html
【秋華賞】2強一騎打ち!メサイア笑ったクビ差で届いた母の夢
http://www.sanspo.com/keiba/top/ke200510/ke2005101702.html
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