*表1. 過去5年にきさらぎ賞時計比較
| 年度 | きさらぎ賞 | 春日特別 | 時計差 |
| 勝ち馬名 | 時計 | 上り | 前3F-5F-後3F |
| '07 | アサクサキングス | 1.48.8 | 35.0 | 36.4-61.7-35.0 | 1.47.6 | 1.2 |
| '06 | ドリームパスポート | 1.47.4 | 34.2 | 35.3-60.0-34.9 | 1.48.5 | ▲1.1 |
| '05 | コンゴウリキシオー | 1.48.5 | 34.5 | 36.6-61.5-35.0 | 1.47.8 | 0.7 |
| '04 | マイネルブルック | 1.48.0 | 34.8 | 35.7-60.3-35.2 | 1.48.8 | ▲0.8 |
| '03 | ネオユニヴァース | 1.49.6 | 35.2 | 36.2-61.7-35.5 | 1.47.3 | 2.3 |
勝ち時計の1.48.8というのは、重馬場だった2003年を除くと過去5年では最も遅い時計。過去10年に遡って見ても7番目という平凡なものです。ラップ面でも前半1000mの通過が61.7と、過去10年でも下から3番目のスローペースでした。一見大逃げでハイペースのように思えましたが、じつはこんなスローだったわけですから、二の足を使って逃げ切り勝ちというのも無理はありません。しかしながら上り3Fのラップを取り出してみると、11.3-11.4-12.3と尻すぼみの数字。マークする相手が結果的には違っていたナムラマースに助けられた形で、勝ち馬の内容もそれほど高く評価できるものではありません。むしろそのナムラマースや、オーシャンエイプスより前々で競馬をしながら34.2の脚を使ったサムライタイガースなどの方が、内容的には見所があった気がします。
さてデビュー戦の派手な勝ち方、武豊騎手のコメントなどで、「ディープインパクトの後継者か!?」と注目され、単勝1.3倍の断然人気に支持されたオーシャンエイプスですが、直線の追い比べで伸びきれず4着に終わりました。敗因分析のために、デビュー戦ときさらぎ賞の時計を比較してみましょう。
*表2. オーシャンエイプスのデビュー戦ときさらぎ賞の時計比較
| レース名 | 自身時計 | 勝ち時計 | 上り | 前3F-5F-後3F | PCI | PCI3 | 上り3F |
| きさらぎ賞 | 1.49.4 | 1.48.8 | 34.4 | 36.4-61.7-35.0 | 61.7 | 61.0 | 11.3-11.4-12.3 |
| 新馬 | 1.49.8 | 1.49.8 | 34.3 | 36.7-62.8-34.7 | 63.4 | 57.6 | 11.6-11.4-11.7 |
自身の走破時計、上りに関しては新馬戦とほぼ同じ内容ですが、PCIを見比べてみると少し違いが見られます。新馬戦の「自身PCI-PCI3」が「63.4-57.6」であるのに対して、きさらぎ賞は「61.7-61.0」。ここからどんなことが推測できるでしょうか。
PCIは数値が約50で前後半のペース差が(ほぼ)ないことを表します。数値が大きいほど上がりの速い競馬、小さいほど上りがかかる競馬を意味します(詳細は下記
*注参照)。新馬戦のオーシャンエイプスは、PCI=63.4と大きいことからも、前半脚をためて終いを活かす競馬が出来た上、他の上位馬が止まった(PCI3=57.6)ためにあれだけインパクトの強い競馬になったと考えられます。それに対してきさらぎ賞は新馬戦よりも前半でいくらか脚を使った上(PCI=61.7)、他の上位馬も新馬戦のようには止まってくれなかった(PCI3=61.0)と読み取ることが出来ます。
自身の走破時計や上りの数字から考えて、この馬自身もおそらく自分の力は発揮していたはずで(もう少し上積みがあっても良かったのかもしれませんが
ソエの影響もあったのかも)、それで最後の叩き合いで置いていかれたということは、単純に相手関係が新馬戦より一枚も二枚も上だった、つまり俗に言う「昇級の壁」だったということなのかもしれません。
勝ったアサクサキングスに関しては、先述のとおりスローペースが大きく味方したということは否定できないでしょう。ただ冷静に考えれば芝1800の持ち時計は出走馬中最速(1.47.5)でしたし、オーシャンエイプスとは違ってすでに重賞も経験済み(おまけに大きな不利も経験)だったことも見逃せません。2着のナムラマースもまた然り。デビュー勝ち直後の重賞制覇がいかに難しいことか、あらためて感じた一戦だったと思います。
(*注)PCI(ペースチェンジ指数)
TARGET frontier JV内で使用されている指数。上がり3ハロンの位置を分岐点とし、その前後の走破タイムからそれぞれ速度を計算し、その比を表したもの。3ハロン前後でどれだけ速度が変わったかを表す。PCI3は上位3着馬までのPCIの平均値。
数値が約50で前後半が同一程度のペースになり、それより小さい値だと、後半の速度が低下したことを意味し、大きい場合は、速度が速くなったことを意味する。
【レース映像】
http://jra.jp/JRADB/asx/2007/08/200702080611h.asx
【全周パトロール】
http://jra.jp/JRADB/asx/2007/08/200702080611a.asx
【きさらぎ賞】(京都11R)〜レース後のコメント
http://keiba.radionikkei.jp/news/20070211K21.html
【きさらぎ賞】幸四郎が代打V!キングス、クラシック候補だ!
http://www.sanspo.com/keiba/top/ke200702/ke2007021200.html
キングス独り旅V/きさらぎ賞
http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-20070212-155360.html