2月になると言うのに未だ軸となりそうな馬がはっきりしてこない、今年の3歳牡馬クラシック戦線。いくつかの視点から考察してみたいと思います。
まずは昨年秋からの重賞レースをピックアップし、過去3年の内容と比較してみました(表記上重賞は全て「Jpn」ではなく「G」で統一しています)。
*表1. 現3歳世代の昨秋以降重賞一覧(過去3年比較)
過去3年の中で最速の勝ち時計を記録したのは、朝日杯FSひと鞍だけ。それ以外では京王杯2歳Sが目につくくらいでしょうか。
*表2. 昨年の朝日杯FS時計比較
| 開催日 | レース名 | クラス | 勝ち馬名 | 時計 | 上り | 前3F-5F-後3F | 通過 | 逃げ馬 |
| 5中4 | 朝日杯FS | GI | ゴスホークケン | 1.33.5 | 35.2 | 34.7-58.3-35.2 | 1-1-1 | 1着 |
| 5中3 | 初霜特別 | 古1000 | ハチマンダイボサツ | 1.34.1 | 34.9 | 35.2-59.0-35.1 | 2-2-2 | 8着 |
| 5中2 | ターコイズS | 古OP | コスモマーベラス | 1.33.4 | 34.3 | 35.1-58.6-34.8 | 6-4-4 | 8着 |
昨年の朝日杯FSは、勝ち時計だけでなく内容的にも優秀なものでした。上記*表2.をご覧いただけばわかるとおり、当該週に行われた古馬1000万下戦を上回り、前週に行われた古馬OP戦と比較しても、全く見劣りしない内容になっています。特に価値が高いのは「逃げ切り勝ち」だったこと。「34.7-58.3」という前半の流れは、前に行く馬、まして2歳馬にとってはけっして楽な流れではありません。実際これより遅いラップだった古馬2鞍の逃げ馬は8着に惨敗しています。そこを逃げ切って、おまけに自らレース最速上りでまとめて2馬身半差は、文句のつけようがありません。
その朝日杯FSで2着に入ったレッツゴーキリシマ、4着に入ったドリームシグナル、6着に入ったフォーチュンワードは、いずれも前走で京王杯2歳Sを使っていました。京王杯2歳Sも勝ち時計、ラップ、レーティングいずれもが近3年の中ではトップ水準。勝ち馬アポロドルチェこそ朝日杯では11着に沈みましたが、これは枠順の不利によるものも大きく、数字が示すとおりに高いレベルの競馬だったことが伺えます。
加えて言うなら京王杯2着→朝日杯4着だったドリームシグナルは、年明けのシンザン記念を優勝。朝日杯12着だったドリームガードナーも同レースで2着。さらに13着だったサブジェクトはラジオNIKKEI杯2歳S優勝と、これまでのところこの路線の歩んできた馬達が、力的に一枚上という結果を残していると言えるでしょうか。
また今年の場合特徴的なのは、軽い上りだけの競馬というのが非常に少ないこと。前後半の3Fを比較した場合、前半の方が速かったいわゆる前傾ラップのレースは6鞍(同じだった東スポ杯も含めると7鞍)。昨年が3鞍、一昨年が2鞍だったことを考えると、かなり多く見られます。スローからの用意ドン!という淡白な内容ではなく、持久力・底力を問われる競馬になっているだけに、そこで強い競馬をした馬の信頼度は、例年以上と言えるのではないでしょうか。
重賞以外でチェックしておきたいのが、明け3歳の500万下戦・福寿草特別です。
*表3. 過去3年の福寿草特別時計比較
| 年度 | レース名 | 状 | 時計 | 上り | 前3F-後3F | 前5F-後5F | 前5F-最終差 |
| 2008 | 福寿草特別 | 良 | 2.02.3 | 34.3 | 36.7-35.0 | 62.3-60.0 | 2.7-1.6 (▲1.1) |
| 古1000万下 | 良 | 2.00.7 | 35.1 | 35.0-35.4 | 59.6-61.1 |
| 2007 | 福寿草特別 | 稍 | 2.04.1 | 36.1 | 36.9-37.2 | 62.1-62.0 | ▲0.7-1.5 (2.2) |
| 古1000万下 | 稍 | 2.02.6 | 35.0 | 37.8-35.0 | 62.8-59.8 |
| 2006 | 福寿草特別 | 良 | 2.02.8 | 33.9 | 36.8-35.0 | 62.2-60.6 | 1.4-2.3 (▲0.9) |
| 古1000万下 | 良 | 2.00.5 | 35.1 | 36.0-35.6 | 60.8-59.7 |
最後の「前5F-最終差」という項目は、「前5F通過時点での時計差」と「最終的な時計差」を表します。今年で言うと前5F通過時点で2秒7あった時計差が、最終的には1秒6に縮まった、つまり後5Fだけで1秒1時計を詰めた、ということを表しています。
この視点から見てみると、後半でさらに時計差を広げられた昨年は問題外、逆に0秒9詰めた一昨年は今年の結果と酷似しています。その時の勝ち馬はフサイチジャンク。この後、若駒S、若葉Sを勝って皐月賞まで駒を進めたのは、記憶に新しいところでしょう。古馬1000万下の時計から考えると馬場差はほとんどないと思われるだけに、その一昨年よりラップバランスが上質、勝ち時計で上回った今年の勝ち馬は、少なくともフサイチジャンク・レベルの活躍を期待することは可能かと思います。
さて今度は少し視点を変えて、昨年度のJPNサラブレッド・ランキングを見てみましょう。
*表4. 2歳JPNサラブレドランキング(過去3年比較)
2006年はトップ(111)から2ポンドの間に5頭がひしめく大混戦。2005年にしてもトップ(112)から4ポンドの間に5頭がいたことを考えると、2007年の場合レーティングトップ(112)のゴスホークケンに次ぐグループが、5ポンド離されたキャプテントゥーレほか3頭となっていますから、1頭だけが抜きん出てしまっているような状況です。
もちろん朝日杯FSの内容を考えれば、ゴスホークケンの評価自体は妥当と言えますが、この馬はマイラー志向が強く、今後のローテーションもマイル路線になることが濃厚(ダービーは行くらしいですが)。そうなると今度は一気に107ポンドからの2ポンドの間に、10頭がひしめく昨年以上の大混戦ということになってしまいます。
さらにこの混戦に輪をかける要因になっているのが関東馬の存在。2007年はレーティングの上位10位以内に関東馬が5頭もいます。2006、2005と共にわずか1頭だけだったことを考えると、関東馬の巻き返しが目立っています。しかし「西高東低」が言われ始めて長いだけに、関東馬が果たして関西馬の壁を本当に破れるのか、今ひとつ信用し切れないファン心理が働くのも事実でしょう。それゆえ「強い関西馬が出てこない・少ない=混戦模様」の印象を強くさせているのかもしれません。
今週はこの考察から推せそうな馬、京王杯2歳S勝ち馬(朝日杯FS2番人気)アポロドルチェが共同通信杯に出走してきます(福寿草特別勝ち馬ブラックシェルは次週のきさらぎ賞?)。ラジオNIKKEI杯2歳Sの1・2着馬サブジェクト、サダムイダテンも出てくるだけに、人気はせいぜい3番人気くらいでしょうか。配当面からも狙っておもしろいところですし、考察が正しかったのか、今後にも活かせるのかを占う意味でも目が離せません。
蛇足ながらサブジェクト、サダムイダテンがワンツーを決めたラジオNIKKEI杯2歳Sは、*表1.からわかるとおり完全な上がりだけの競馬、加えて馬場状態も悪かっただけに、先行した馬が有利な流れになりました。そんな中ただ1頭「12-13-12-11」という位置取りで、34.7の上がりを使ってクビ差2着まで追い込んだ2着馬、サダムイダテンの内容は、勝ったサブジェクトよりも上だったのではないか?という見方も出来ると、当ブログは考えています。