*表1. 桜花賞過去5年時計比較
| 年度 | 勝ち馬名 | 状 | 時計 | 上り | 前3F-5F-後3F | 3F最速 | PCI3 |
| '07 | ダイワスカーレット | 良 | 1.33.7 | 33.6 | 35.7-59.8-33.9 | 33.5 | 57.6 |
| '06 | キストゥヘヴン | 良 | 1.34.6 | 34.9 | 34.8-58.8-35.8 | 34.9 | 48.6 |
| '05 | ラインクラフト | 良 | 1.33.5 | 34.7 | 33.8-58.0-35.5 | 34.4 | 49.5 |
| '04 | ダンスインザムード | 良 | 1.33.6 | 34.2 | 34.7-59.0-34.6 | 34.2 | 52.7 |
| '03 | スティルインラブ | 良 | 1.33.9 | 35.1 | 35.0-58.4-35.5 | 34.5 | 48.8 |
| '02 | アローキャリー | 良 | 1.34.3 | 35.6 | 35.0-58.5-35.8 | 35.1 | 47.0 |
上記*表1.でわかるとおりこれまでの桜花賞と今年の桜花賞とでは、まるで別物の性格を持つレース内容となってしまいました。改修後の阪神外回りコースが長い直線の影響で、スローの上り勝負の傾向が強まっていることは言われていましたが、まさか桜花賞までがこのような流れになるとは・・・。かなり衝撃的な変化だったと思います。
「前3F-5F」の時計はいずれも過去5年では最も遅く、逆に上りの3Fに関しては断然速くなっています。レースの上りが33.9、勝ち馬の上りが33.6、最速の上りが33.5ですから、ラップバランスを考えれば完全な上りだけの競馬と言って良いでしょう。かつて言われた「魔の桜花賞ペース」とまではいかないまでも、暮れの阪神JFを考えればもう少し速くなっても良かった気はするのですが。
ダイワスカーレットの最も大きな勝因は、このスローペースにあったと思います。と言うのも単純に決め手だけを比較すれば「ダイワ>ウオッカ」であることは明白だったからです(下記*表2.参照)。これまでの桜花賞の傾向を考えればスローの上り勝負は考えづらく、ダイワ向きの競馬にはならないと
判断した当ブログとしては、まさに予想の組み立ての根底から変わってしまったわけで、何とも恨めしい結果になりました。
*表2. ダイワスカーレットとウオッカの全成績比較
■ダイワスカーレット
| 年月日 | レース名 | 距離 | 着 | 前3F-5F-後3F | 自身Ave.3F-上り3F | PCI |
| 070303 | チューリップ賞 | 1600 | 2 | 35.4-59.8-33.9 | 35.88-33.9 | 56.4 |
| 070108 | シンザン記念 | 1600 | 2 | 35.6-60.2-34.9 | 36.96-33.7 | 62.8 |
| 061216 | 中京2歳S | 1800 | 1 | 36.6-61.3-33.8 | 37.05-33.7 | 63.2 |
| 061119 | 新馬 | 2000 | 1 | 38.1-65.5-35.0 | 38.19-35.0 | 61.8 |
■ウオッカ
| 年月日 | レース名 | 距離 | 着 | 前3F-5F-後3F | 自身Ave.3F-上り3F | PCI |
| 070303 | チューリップ賞 | 1600 | 1 | 35.4-59.8-33.9 | 36.12-33.5 | 59.7 |
| 070203 | エルフィンS | 1600 | 1 | 35.6-59.3-34.4 | 35.82-34.0 | 55.6 |
| 061203 | 阪神JF | 1600 | 1 | 34.4-58.3-34.8 | 35.34-34.2 | 52.2 |
| 061112 | 黄菊賞 | 1800 | 2 | 36.5-62.5-34.2 | 37.70-34.1 | 64.2 |
| 061029 | 新馬 | 1600 | 1 | 36.5-60.5-34.5 | 36.30-34.5 | 55.3 |
もうひとつ明暗を分けた要因として挙げられるのは、騎手の腕の差(レースの流れを読む力)ではなかったでしょうか。下記*表3.をご覧下さい。桜花賞とチューリップ賞は勝ち時計のみならず、ラップ内容までほぼ同じでした。チューリップ賞で逃げたダイワは今回は3番手をがっちりマークする競馬。自身のAve.3Fを見ても0秒2ペースを落とし、末脚を温存する形になっています。対してウオッカは位置取り的には前回より後ろになったにも関わらず、Ave.3Fは変わっていません。ダイワと違って末脚を温存しながらの追走、というわけには行かなかったようです。
前回逃げて目標となった反省を踏まえ、好位追走で余力を蓄える競馬に導いた安藤勝騎手と、これまでどおりの型に当て嵌めた競馬だった四位騎手。四位騎手がどうこうより、むしろ現在の安藤勝騎手の円熟ぶりが目立つ好騎乗だったと思います。
*表3. 桜花賞とチューリップ賞の時計比較
| レース名 | 勝ち時計 | 前3F-5F-後3F | ダイワスカーレット | ウオッカ |
| 着 | Ave.3F-上り | 通過 | 着 | Ave.3F-上り | 通過 |
| 桜花賞 | 1.33.7 | 35.7-59.8-33.9 | 1 | 36.06-33.6 | 3-3 | 2 | 36.18-33.6 | 7-6 |
| チューリップ賞 | 1.33.7 | 35.4-59.8-33.9 | 2 | 35.88-33.9 | 1-1 | 1 | 36.12-33.5 | 5-5 |
ただ展開や騎手の妙だけに敗因が集約されるなら良いのですが、心配なのはウオッカの体調面がどうだったのか?ということです。最終追い切りの動きを見る限りでは、併せて遅れたとはいえ、あくまで意図的に追い抜かなかった感じで、追えばすぐにでも突き抜けそうな素晴らしい動きでした。しかしレース後の騎手談話では「弾けなかった。いつもの走りではなかった。」とのこと。
チューリップ賞回顧の際に指摘したのですが、エルフィンSを56キロで使った分がやはり1走余分だったのではないでしょうか。ましてここ3走が全て1分33秒台の競馬が続いたわけですから、その反動が出たとも考えられます。繊細な3歳牝馬ですから、いったんリズムを崩すと立て直しは容易なことではないでしょう。次走に向けてそのあたりに不安が残ります。能力的には間違いなく超A級なだけに、ぜひ巻き返してほしいところですが・・・。
2番人気で7着に敗れたアストンマーチャンですが、今回はパドックからテンションが上り気味だったようです。次走はオークスには行かないようですから、おそらくNHKマイルCを目指すのでしょう。ただ次回は初めての長距離輸送が伴いますから、気性面でどこまで落ち着いてやれるか。そのあたりが課題となってきそうです。
ウオッカ断然ムードだった今年の牝馬クラシック路線ですが、桜花賞を終えて一気に様相が変わってきました。1冠目を制したダイワスカーレットはデビュー戦に2000mを使ったくらいですから、少なくとも陣営には距離不安はないのでしょう。ただダイワメジャーの下ということを考えると、必ずしも「東京コース」「2400m」が無問題とは言い切れませんし、別路線から参戦してくるベッラレイアという大物もいます。オークスはかなりおもしろいレースになりそうです。
【レース映像】
http://www.jra.go.jp/JRADB/asx/2007/09/200702090611h.asx
【全周パトロール】
http://www.jra.go.jp/JRADB/asx/2007/09/200702090611a.asx
【勝利騎手インタビュー】
http://www.jra.go.jp/JRADB/asx/2007/09/200702090611w.asx
【桜花賞】〜レース後のコメント
http://keiba.radionikkei.jp/news/20070408K21.html
【桜花賞】2年連続アンカツ桜!女王はダイワスカーレット
http://www.sanspo.com/keiba/top/ke200704/ke2007040902.html
【桜花賞】ウオッカ2着…四位ガックリ「弾けなかった」
http://www.sanspo.com/keiba/top/ke200704/ke2007040901.html
スカーレットが桜の女王/桜花賞
http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-20070409-182031.html
ウオッカ2着、屈辱の1馬身半差/桜花賞賞
http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-20070409-182034.html
マーチャン距離の壁7着/桜花賞
http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-20070409-182037.html