エリザベス女王杯を見てみましょう。史上最強との呼び声が高い今年の3歳牝馬勢ですが、その前評判どおりダイワスカーレットが古馬勢を一蹴しました。対ウオッカという面でも2勝1敗と勝ち越している同馬の、有馬記念での好走の可能性を探ってみます。
*表1. 過去5年のエリザベス女王杯
| 年度 | 状 | 勝ち馬 | 時計 | 上り | 前後3F | 前後5F | 通過順 |
| 1着 | 2着 | 3着 |
| '07 | 良 | ダイワスカーレット | 2.11.9 | 34.1 | 36.2-34.1 | 60.6-58.7 | 1-1-1-1 | 5-5-3-3 | 6-6-6-5 |
| '06 | 良 | カワカミプリンセス | 2.11.4 | 34.5 | 34.8-36.5 | 57.4-61.8 | 9-10-8-7 | 8-8-7-4 | 11-11-11-11 |
| '05 | 良 | スイープトウショウ | 2.12.5 | 33.2 | 35.1-34.7 | 60.0-60.0 | 10-10-10-10 | 1-1-1-1 | 6-7-9-7 |
| '04 | 良 | アドマイヤグルーヴ | 2.13.6 | 33.8 | 36.2-35.4 | 61.0-60.0 | 9-9-9-7 | 2-2-2-2 | 15-15-13-13 |
| '03 | 良 | アドマイヤグルーヴ | 2.11.8 | 34.8 | 34.4-37.3 | 57.5-62.1 | 9-9-10-10 | 6-6-6-6 | 14-13-13-13 |
今年の勝ち時計は古馬混合、距離2,200Mになってからのもの(全12回)としては上位の部類。ただラップを見てみると、前後半3Fの差が2秒1、同5Fの差が1秒9というかなりの後傾ラップ。逃げ切った勝ち馬自身の上りが34.1ですから、完全な上り勝負で後方待機馬にとってはどうにもならない展開でした。同じ3歳のカワカミプリンセスが「勝った」(結果は12着降着でしたが)昨年と比較すると、後半のラップが3秒近くも落ち込む消耗戦を自身34.5の上りを使って差し切ったカワカミプリンセスの内容とは、あまりにも差がありすぎると言わざるをえません(当然カワカミの内容>ダイワの内容)。
そもそもダイワスカーレットの型というのは、このような「スローの上り勝負」にあることは間違いありません。デビュー以来全てのレースを見渡しても、前後半のラップで前傾を記録しているのは秋華賞の前後半5F比較のみ。これにしても実際は逃げたヒシアスペンがマークしたものであって、この馬自身はいつものとおり押さえてスローに落とした競馬をしていました。
*表2. ダイワスカーレット全戦績
| 年月日 | 場所 | 状 | レース名 | 距離 | 着 | 上り | 前後3F | 前後5F | 通過 |
| 071111 | 京都 | 良 | エリザベス女王杯 | 2200 | 1 | 34.1 | 36.2-34.1 | 60.6-58.7 | 1-1-1-1 |
| 071014 | 京都 | 良 | 秋華賞 | 2000 | 1 | 33.9 | 34.2-33.9 | 59.2-59.9 | 1-2-2-1 |
| 070916 | 阪神 | 良 | ローズS | 2000 | 1 | 33.6 | 35.6-33.6 | 60.4-58.1 | 1-1 |
| 070408 | 阪神 | 良 | 桜花賞 | 1600 | 1 | 33.6 | 35.7-33.9 | 59.8-58.0 | 3-3 |
| 070303 | 阪神 | 良 | チューリップ賞 | 1600 | 2 | 33.9 | 35.4-33.9 | 59.8-58.3 | 1-1 |
| 070108 | 京都 | 良 | シンザン記念 | 1600 | 2 | 33.7 | 35.6-34.9 | 60.2-59.5 | 3-3 |
| 061216 | 中京 | 良 | 中京2歳S | 1800 | 1 | 33.7 | 36.6-33.8 | 61.3-58.7 | 2-2-2-2 |
| 061119 | 京都 | 良 | 新馬 | 2000 | 1 | 35.0 | 38.1-35.0 | 65.5-58.6 | 2-2-1-1 |
3歳初戦のシンザン記念でアドマイヤオーラに切れ負け、さらにチューリップ賞でウオッカに同じく切れ負けして以来、自ら前に行って(逃げて)スローペースを作り、先行有利の競馬を組み立てるパターンを確立したとも言えます。それにしても以降のレースで判を押したように同様の競馬に持ち込んでいるあたり、安藤勝騎手の絶妙な手綱さばきと言うしかないでしょう。
ただ初めての古馬一線級の牡馬陣相手、初めての中山、初めての距離・・・という諸条件が重なる中で、思惑通りいつものパターンに持ち込めるのか、先行して粘りこむ競馬に持ち込めるのかと考えると、常識的にはそう上手くはいかないだろう・・・と思われます。
ダイワスカーレットが非常に高い能力を持った馬であることに異論はありませんが、今回に限っては初物尽くしの壁が少し高すぎるような気がします。
【レース結果詳細】
http://jra.jp/datafile/seiseki/g1/eliza/result/eliza2007.html
【レース映像】
http://jra.jp/JRADB/asx/2007/08/200705080411h.asx
【レース後コメント】
http://keiba.radionikkei.jp/news/20071111K21.html